今週は、特別授業があった。
2年生だけ、午後の時間をつぶして、教科の枠に当てはまらない授業をする。
僕もその中で、授業を持っていた。
世間一般に信じられていることが、
実は、もっと大事な点の一面に過ぎなかった、ということが、
これまでの歴史の中で、何度かあった。
例えば「地球が平らだ」とか、「熱は流体だ」とか。
ある宗教のファンダメンタルの人たちはいまでも「地球は平らだ」ということを信じているし、
「熱は流体」か「分子の運動が伝わる現象」かという論争に終止符が打たれたのは、
100年前のこと。アインシュタインの世代。
ある現象についての、授業をした。
僕は、その説明について、これまでに2人の人と、口論をした。
以前、僕が何気なく、そのことを話題にしたとき、
ちょうど、ある人が本を出版したばかりで、その内容と食い違う意見だった。
僕は、その人の本を、何冊も読んだことがある。面白い本を書く。
で、その人が「そんなことはない」と言い張るのだ。
それで、ケンカになった。
この話を導入で使わせてもらった。
生徒「なんで、ケンカになったんですか?」
僕 「本当は、ケンカではなく、論議。
決着が付かなくて、仲が悪いままなの。
だから、ある意味、ケンカ」
一時間目は、時間いっぱい、ビデオをみせた。
ちょうど僕が説明したい部分が、たくさん出ている。
「ピンクグレープフルーツみたいな色になってるでしょ?好きなんだけど」
説明をしているうちに、生徒たちには、僕の言いたいこととか、
性格、弱点、好き嫌い、などがだいたい伝わった。
どこかで「青い」という表現を「まっつぁお」と言ってしまったらしく、
それ以来、彼らの中で、お気に入りの表現になってしまった。
次の日の、二時間目は、工作。
現象を確認するための、ツールを作る。
このツールを使うと、世間一般に言われている説明が、
本当に意味のないことだと分かる。
三時間目には、理論的な説明と、ネット上では現在、
どういう説明が主流かを、観察した。
やはり、古い理論一辺倒だった。
40名の受講生たちは、この授業の内容を、レポートにしなくてはならない。
「インターネットのページをそのまままとめてくると、今回の授業と正反対になっちゃうからね。ケンカ、売らないようにしよう」
これでは、生徒の意思を誘導していることになる。反省。
「てか、自由に書いてきていいよ。オレは、そんなに心の広い人間じゃないから」
思いついたギャグは、必ず添える。
終了のベルが鳴り、あいさつを終えると、
二人の女子生徒が駆け寄ってきて、
「楽しかったですっ」と言ってくれた。
僕はすかさず「あたす」と笑って応えた。
ものすごく手を抜いた授業だったけれど、
今まででいちばん、自然な流れだった。
「自分がもっと研究したい」という姿勢から、
「君らの世代に預ける」という姿勢に変えた。
だから、この問題は、彼らの自由にできる。