学生時代のアルバイト先でのこと。
僕がそのアルバイトを始めたのが、夏休みのことで、仕事もかなり覚えた、次の年の4月。
新入社員が3人入った。
女の子ばかり。2人は二十歳で、僕と同じ歳。
そのうちの一人は、お金持ちのお嬢さんという噂があったが、一般常識には、うとかった。
救いようがなくズレていたけれど、美人だったので、僕以外の人からは人気があった。
缶コーヒーの「ジョージア」の発音が変だった。
「ジ」のところにアクセントを置くので、「十字屋」みたいな発音になる。
だれも指摘しなかったので、本人も気づいていない。
もう一人の20歳は、体育会系。
同じ短大出だけれど、こっちは普通の家の人だった。
いちばんたくさん会話をしたので、いまもこの子の顔を思い出せる。
記憶が間違いでなければ、けっこう、ととのった顔をしている。
色黒で、カンロクがあった。
他の二人の情報は、この子に教えてもらった。
とても面倒見のいい、よく気がつく、優しい体育会系だった。
もう一人は、薬学部を出たばかりの人で、23歳。
僕の姉より、ひとつ、年上だ。
いちばん背が小さいが、いちばん頭が良かった。
美人ではなかったが、笑顔が可愛いのを、武器にしていた。
僕はアルバイトだったが、生活が掛かっていたので、学校よりその会社にいる方が長かった。
時給ではなく、歩合制。
プログラムの本数を上げれば、それがお金になる。
僕は自信のない男だった。かなり消極的な方ではあったが、さすがにその3人とは、仲がよくなった。
「体育会系」が、僕を無理クリ、仲間に引き込もうとするので、力負けしたためだった。
僕は、ちょっとだけ彼女に好意を感じていた。
でも、僕は、彼女が気づいたときにはすでに遅く、違う方の女の子の誘いに、引きずり込まれていったのでした。
この顛末は、また後ほど書きます。