「大人は、ズルくて、横暴で、思いやりがなく、人を傷つける」
こんな印象を、持ってしまっていないでしょうか?
人気作家の作品を読んでいて、いいことが書いてあるなあと思っていたら、
「歩き出せない大人でいるより、口の減らない子どもでいたい」
こんなフレーズが飛び出して、うーんと考え込んでしまいました。
大事なところを、誤解してしまっている。
歩き出せないのは、子どもの特徴。
口が減らない知恵を持つのは、大人の特徴。
大人の中にも、大人になりきれない子どもの部分が必ずあり、
子どもの中にも、大人より大人らしいところのある子もいる。
もともと、赤ちゃんは、何も持たずに生まれてきます。
持っている能力といえば、本能とか、反射運動くらいのもの。
少しずつ、大人になっていく。
考えてみてください。
赤ちゃんの可愛い部分というのは、たいてい、
大人になった面ではないでしょうか?
「あやしている自分に気づいて、赤ちゃんが笑った。」
人の思いやりに気づき、それに対して微笑むのは、
本能じゃなくて、学習の効果。
オトナになった一面を見たから、可愛いと思える。
逆に、泣き騒いでいる赤ちゃんは、そんなに可愛くない。
不安や欲求を自分で解決できず、本能的に泣き騒ぐ。
それは成長していない、子どもそのもの。
赤ちゃんの、本当に赤ちゃんらしいところというのは、
実際には、ぜんぜん可愛くないです。
少しずつ、大人になった面を見せてくれるから、可愛い。
そう思いませんか?
赤ちゃんが泣き騒ぐときに、嫌な気持ちにもならず、
何かしてあげようと思うのは、母性や、父性の発達した人だと思う。
ごく希に、「うるさい」と、怒鳴る人もいます。
まあ、事情はいろいろあるんでしょうけど、そういうのを、
「大人げない」って、言いますよね。
大人になった面に惹かれるのは、赤ちゃん以外にも、言えます。
小学校の頃、好きだった子のことを、思い出してください。
その子は、頭の良い子だったのでは、ないですか?
その上、スポーツが得意か、あるいは、ピアノが、上手だった。
他の人よりも、少しだけ、大人だったんじゃないでしょうか。
逆にいうと、顔立ちがものすごく可愛らしいのに、
鼻水をたらしていた子は、、目立たなかった。
子どもっぽい部分というのは、平均的に見て、マイナスの部分なんです。
【人は、大人に惹かれる】
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「私は、彼の、子どもっぽい面が、好きなの」
こういう人もいると思うけど、よーく考えてみましょう。
その人は、全体的にはとっても大人なんですよ。
それなのに、ときどき、子どもっぽい面を見せる。
そのギャップが大きいために、普段のオトナな面が、
余計に引き立つわけです。
だから、もしも普段から子どもっぽいオトナがいたら、
その人が子どもっぽい面を見せても、なんの魅力にもならない。