テレビで、スズメの巣立つ瞬間を見ました。
信号機の上の、パイプの中にいた、2羽のヒナ。
長さ50センチ、太さ10センチほどのパイプの中で生まれて、
親鳥が運んだエサを食べて育ち、親鳥ほどに大きくなりました。
そんな彼らにも、旅立ちの日が来たのでしょうか。
親鳥が、巣から飛び立つ方法を、教えています。
パイプのふちから、勢い良く飛び立ちます。
「こうして、飛ぶんだよ」
その姿をただただ見守る、子どもたち。
その巣は、地上から5メートルほどの高さにあります。
もしも、子どもたちの力が足りなかったら、
巣の下はアスファルト。
ひとたまりもありません。
親鳥は、パイプのふちから勢い良く飛び立ちます。
その行方を目で追いながら、子どもたちは、羽をばたつかせていました。
「ボクたち、飛べるのかな?」
親鳥は、子どもが決心するまで、何度も飛び立って見せました。
根気良く、何度も何度も。
そして、次の瞬間、
子どもスズメは、落ちていきました。
というか、テレビ画面の下に、姿を消した。
「ああ」
と叫び声を挙げたのは僕。
ダメだったのか?
と思ったら!
子どもスズメは、ちゃんと、道路を隔てた松の木まで、
無事に渡り切っていました。
カメラに収まりきらなかっただけなんですね。
ホッと、胸をなでおろしました。
「泣いてるの?」
妻に聞かれました。
「いや、心配してただけ」
そういう彼女も目が潤んでいました。
子どもは、笑っています。
みんな、ミラーニューロン(共感する神経細胞)の働きですよね。
子どもが微笑んだことも、妻の目が潤んだことも、
そして、スズメの子が、巣から飛び立てたことも!!
だけど、親スズメはどうして、子どもがいま飛べるんだってことが、
分かったんだろう。
スズメの親子が、無事に松の木にたどり着いたのが、
奇跡的な出来事に思えました。