日記

500円玉の話?

思い出したので、書いておきます。
父が「お得意先から頂いてきた」と言って、
小学館の「少年少女向けの文学全集」全巻を、
リヤカーに乗せて家に持ってきたことがありました。
小学校の、4年生のときのことです。
弟は外で遊ぶのが大好きだったのと、2・3年生では難しすぎたので、
見向きもしませんでした。
僕が中学2年の頃、サッカー部のへぼいMF(当時はHB)でしたが、
弟は小6にも関わらず友達を連れて練習に顔を出し、
僕よりうまいと、野次られたものです。
弟と妹は僕の宝物だったので、悔しいとも思いませんでしたが。
僕は夢中になってその全集を読みました。
その中にあった、アラビアの寓話です。
――――――――――――――――――――――――
 ある無一文の若者が、大きな砂漠を通りかかったときのことです。
砂漠の砂の中に、「1円玉」がひとつ、落ちているのを目にしました。
手にとって眺めましたが、ほとんど価値が無いものと思い、捨ててしまいました。
しばらくして、大きな町が見えてきました。しかし、通りにいる人たちはみんな空(うつ)ろで、死んだように見えます。
不思議に思った若者は、町の中心まで歩いていきました。
そこには大きな宮殿があり、扉が開いています。
中に入っていくと、従者のような者が現れ、無一文の若者を、大切な客人として女王のいる部屋に案内しました。
女王は若者に、ここがなぜ「死に絶えた」ような町なのかを説明し、若者に、それを救う方法を教えました。
「この町のどこかの商店で、たったひとつでも、売り買いがあること」
そうしたら、町が生き返るのです。
若者は、夢中で宮殿を飛び出し、先ほど捨てた「1円玉」を探しに行きました。
――――――――――――――――――――
もとは、アラビアではなくペルシャの寓話だそうですが、
どちらにしても、1円玉ではないはずだけれど、
記憶では、「1円玉」と書いてあったような気がします。
数学が発達し、商業の先進地であったペルシャやアラビアで、
その地にあったほとんど価値の無い「1円玉」のような存在を、
粗末にしてはいけない、と、教えたかったのだと思います。
 ウィキペディアでは、「硬貨の中で最も製造枚数が多い」とされ、
実際、流通量の多さ、無価値、水に浮くほどの軽さから、
僕は「世界一変な貨幣」の座は、「1円玉」をおいて他に無いと思います。
なぜか通貨の話になってしまったけど、
もしもこのブログの内容が政府の人の目に触れるようなことがあれば、
「変な通貨」
のチャンピオン候補として、ぜひ考えてもらいたいものがあります。
それは、500円玉。
みんな、500円玉が登場したときに、
いくらか、がっかりしたと思うんですよ。
どうして、穴がないのかって。
セキュリティー上の問題とか、いろいろあるんだと思いますが、
逆に、活性化に役立つかも知れないし。
5円玉、50円玉と、東洋の伝統を受け継いできたのですから、
ぜひ、挑戦して欲しいと思います。