日記

東中野の桜並木

なぜか記憶の中に残っている出来事。
僕が昔、学生のころ、東中野の下宿から中野のアルバイト先に向かって歩いていた。
向こうから、若い女性の集団が歩いてきた。
この人たちは、学生なのかな?それとも、若い奥さんたちなのかな?
そう思いながら、半ば見ない振りして、通り過ぎようとする。
集団をやり過ごすために、視線をもう一度移したとき、その中の一人と、目が合った。
きれいな人だった。
しっかり目に焼きついてしまった。見ない振りをしたのは、それが嫌だったからなんだ。
僕は疑わなかった。ああいう人には、ちゃんといい彼氏がいるんだよ。
その頃の僕は、きれいな人に弱かった。今もかな?
その後、何度かすれ違ったことがあったけれど、結局あいさつも交わさないまま、時間が過ぎて、今はもう顔も思い出せない。
まったく何の接点もない他人なのに、なぜか記憶の中に残っているのは、
よほど胸が痛んだからに違いない。
ああ、なんだか君の気持ちが分かるよ。
アプローチする方法も、あったはずなのに、まだ、学生だし、アルバイトだし、しかも、自分に自信があるわけじゃないし、いろんな理由で、君はその人を見ない振りをした。
最終的に、君の選んだ道も、間違いじゃなかったから、よしとしよう。
何だ?それだけの話?
そう、このケースは、本人にその気がないんだから、発展しないのです。
この記憶は、初期段階の恋愛心理を検討する際の、
備忘録として、取っておきます。