人とのつながり

空気を読む

昔、2年間だけ講師をしていた、私立中学校でのこと。
どの教室も、ひとクラス49人。
生徒のスペースを確保するため、
教卓(教師用の机)の後ろの脚を2本切り詰めて、
教壇の上においてありました。
しかも、教壇の幅がもともと狭かったので、、
その結果、教卓と黒板の間は、
30cmしかありませんでした。
後にも先にも、そんな窮屈な経験をしたのは、
その学校だけです。
いまでも、高校では科目選択の都合などで、
ひとクラス45名というのはたまにあるのですが、
49人は、さすがに窮屈でした。
さらに、その学校では、ひとクラスあたり、
ちょうど2名の相撲部員がいます。
どのクラスでも、相撲部の2名分の席は、
前と後ろの出入り口のところと決まっています。
物理的に、それ以外の場所には、
たぶん移動できません。
とくに、教卓と黒板の隙間を通るのは不可能でしょう。
僕が、その学校に採用されるのと入れ違いで、
相撲の若貴兄弟の弟の方が、卒業したそうです。
僕にとってはおもしろい経験だったので、
この話、誰かに話したくて仕方がありません。
ところで先日、ある送別会で、
「ひとクラスの人数で苦労した話題」になりました。
チャンスでしょ?
数年前までの僕なら、その話に参戦していたと思います。
しかし、「ちょっと待てよ」と、疑問が沸きました。
「この話、このタイミングでも面白いかな?」
ちょうどいま、退職される先生のところに、
スポットがあたっています。
いい思い出になるではないですか・・・
僕は、共感する側にまわりました。
「昔は49人もいて、大変だったでしょうね」
話題をさらうような場面では、ぜーんぜんありません。
「空気を読む」ということは、「とっておきの話を我慢する」
ということでもあるんですね。
かわりに、ブログの記事として書いておきました。