日記

恩返しの、かたち

今日は、インフルエンザの予防接種に行って来た。
独身の頃は、そもそもインフルエンザにかかったことがないし、ワクチン接種も考えてもみなかった。
しかし、結婚をすると、そうは行かない。
私の勤める学校の近くに、学校のOBが院長をしている医院があり、
うちの職員には毎年、インフルエンザワクチンを半額近くで提供してくれている。
ただし、予約制で、その期間は一ヶ月も前に過ぎていた。
「予約した人は割引してくれたけど、今日はそのままの値段かもしれませんね」
と、同僚に言われた。
妻は、産婦人科で接種した。
新型も季節性も、どちらも結構な値段だったので、覚悟はしている。
電話で様子を聞いてみると、すぐに処置ができそうだった。
いざ行ってみると、30人待ちでのスタート。
本を持ってきた。妻が買ってきた本。読めと。
読み進むと案外面白いのだが、何度も読み返さないと意味が分からないところがある。
仕事が忙しいというのは、言い訳がましいけれど、
本当に、私のいる学校は、暇がない。
7巻あるうちの、半年経つのにまだ3巻目。
今日こそ読破する決意。
ところが、「○○さん(僕のこと)、早めに診察しますので」
と、いうことで、30人抜きで、先頭に入ってしまった。
いったい、何があったのか・・・
熱は、受付で宣言したとおり、平熱以下。
のどの調子も悪くないので、1分で診察終了。
そのまま処置室に入って、ワクチンを打ってもらった。
僕の前にもワクチン接種の人がいて、会計の値段が何となく聞こえた。
2500円。
産婦人科よりは、安い。
その人たちがドアを出るのと同時に僕も呼ばれて、レジの数字を見た。
1500円。
4割引だった。
その院長が、とても律儀な人に思えた。
順番を早めてくれたり、割り引いてくれたり。
恩返し、という言葉があるけれど、
僕は彼が恩を受けた先生とは無関係なのに。
学校へ戻るまでの間、生徒たちとすれ違いながら、
どーんと重く圧し掛かるものを感じた。
僕は何を返せる?
答えは、出なかった。